1.農業は本当に中小企業にチャンスがあるのか
農業には、
「儲からない」
「難しい」
というイメージがあります。
実際に、農業参入でうまくいかない企業も少なくありません。
しかし一方で、
市場は伸びている。
担い手は減っている。
企業参入は増えている。
という状態も起きています。
こうした状況を見ると、
「むしろ中小企業にとってチャンスなのではないか」
と考える人も多いでしょう。
では、その見方は本当に正しいのでしょうか。
今回は、農業市場の構造から整理していきます。
2.市場が伸びているなら参入チャンスなのか
一般的なビジネスでは、
市場が成長していて競争が少ない場合、
参入余地があると考えられます。
市場が伸びている。
競合が少ない。
そのため参入しやすい。
これは多くの業界で通用する考え方です。
農業市場を見ても、
- 市場規模は拡大している
- 担い手は減少している
- 供給不足が起きている
という状態があります。
そのため、
「作れば売れるのではないか」
と考えられることがあります。
しかし実際には、
供給不足の市場でも失敗する企業は少なくありません。
なぜなら、
農業は一般的なビジネスと同じ前提では考えられないからです。
3.農業にはガリバー企業が存在しない

農業市場には特徴があります。
それは、
業界の中心に圧倒的な企業が存在しないことです。
例えば、
- 自動車業界ならトヨタ自動車
- アパレル業界ならユニクロ
- 家具業界ならニトリ
- 雑貨業界なら無印良品
といった企業があります。
業界の中心となり、市場を牽引する存在です。
しかし農業には、そのような企業が存在しません。
生産そのものを圧倒的に支配する企業がいないのです。
これは農業市場を理解するうえで非常に重要な特徴です。
4.周辺には大手企業が存在している
農業に大手企業が存在しないわけではありません。
実際には、
- タキイ種苗
- サカタのタネ
- クボタ
- ヤンマー
などの大手企業があります。
ただし、
これらは種苗や農業機械などの周辺産業です。
農業生産そのものの中心には存在していません。
つまり、
周辺には大手企業がいるが、ど真ん中にはいない
という特徴的な構造になっています。
5.なぜ農業は統合されにくいのか
ではなぜ、
農業のど真ん中に大企業が生まれにくいのでしょうか。
その理由の一つが、
小規模経営が多数派であることです。
農業は地域性が強く、
気候や土壌、作物によって条件が大きく異なります。
さらに、
生産者ごとの技術差も大きく存在します。
そのため、
他業界のように一気に統合しにくい構造になっています。
結果として、
大企業が市場全体を支配する形になりにくいのです。
6.中小企業にも余地があるように見える理由
こうした構造を見ると、
中小企業にも余地があるように見えます。
実際、
農業市場には圧倒的な中心企業が存在しません。
さらに、
- 市場は伸びている
- 担い手は減っている
- 企業参入は増えている
という状況があります。
そのため、
参入余地があるように見えるのは事実です。
しかし、
ここで一つ注意が必要です。
7.「余地がある」と「成立する」は違う
農業参入を考えるうえで重要なのは、
余地があることと、
成立することは別だということです。
市場が伸びている。
競争が少ない。
供給が不足している。
これらは魅力的な条件に見えます。
しかし、
それだけで事業が成立するわけではありません。
実際には、
供給不足の市場でも撤退する企業は存在します。
つまり、
市場構造だけを見て判断すると、
大きな誤解が生まれる可能性があります。
8.農業市場で起きている4つの現象
ここまでを整理すると、
現在の農業市場では、
- 市場は伸びている
- 供給は減っている
- 企業参入は増えている
- 市場は統合されていない
という4つの現象が同時に起きています。
そのため、
一般的なビジネスの前提だけでは判断できません。
農業市場は、
チャンスに見える。
しかし、
そのままでは成立するとは限らない。
これが現在の農業市場です。
9.企業の農業参入で重要な視点
農業は、
大企業だけの市場ではありません。
むしろ、
中心に圧倒的な企業が存在しないからこそ、
中小企業にも余地があるように見えます。
ただし、
それがそのまま成功を意味するわけではありません。
重要なのは、
市場規模だけを見ることではなく、
その市場がどのような構造で成り立っているのかを理解することです。
そして、
参入余地があることと、
事業として成立することを分けて考えることです。
ここが、企業の農業参入を判断するうえで非常に重要なポイントになります。
次にみる動画
まずはこちら
テーマ別に学ぶ
【市場①】競合減×市場増|なぜ農業は「需要に供給が追いつかない市場」なのか


