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【市場編】農業市場は本当に衰退産業なのか|「実は伸びている」という認識ギャップ

1.農業は本当に衰退産業なのか

「農業は衰退産業だ」

そのようなイメージを持っている方は少なくありません。

確かに農業の担い手は減少しています。

高齢化も進み、農業人口だけを見ると厳しい状況に見えます。

しかし一方で、生鮮野菜市場は拡大しています。

つまり、

「担い手は減っているのに、市場は伸びている」

という、一見矛盾した状態が起きているのです。

企業の農業参入を考えるうえでは、この構造を正しく理解することが重要です。

2.人口減少でも市場は拡大している

一般的な業界では、人口が減れば市場も縮小します。

実際、多くの市場では人口減少がそのまま市場規模の縮小につながります。

しかし農業は少し違います。

2005年から2024年までの生鮮野菜市場を見ると、市場規模は約120%まで拡大しています。

金額ベースでは約3.2兆円規模です。

一方で、日本の人口は同期間で約3%程度の減少にとどまっています。

つまり、

人口は減っている。

しかし市場は伸びている。

この状態が実際に起きています。

そのため、

「人口減少=市場縮小」

という一般的な前提が、そのまま当てはまらない市場になっています。

3.なぜ農業市場は伸びているのか

農業市場が拡大している理由の一つは、単価の上昇です。

供給が減ることで価格が崩れにくくなり、さらに消費者の価値観も変化しています。

現在は、

  • 安い野菜
  • 大量生産された野菜

だけが選ばれる時代ではありません。

むしろ、

  • 産地
  • 品質
  • 栽培方法
  • 安全性

といった価値で選ばれる市場へと変化しています。

そのため、

同じ量を販売しても、以前より市場規模が大きくなりやすい構造になっています。

市場は量だけで伸びているのではなく、

単価によって伸びている側面が大きい

ということです。

4.実際に伸びている野菜とは

市場全体だけでなく、野菜ごとの動きを見ても変化が分かります。

例えば、

  • トマト:約144%
  • たまねぎ:約165%
  • きゅうり:約122%
  • ねぎ:約132%

と、多くの野菜が成長しています。

一方で、すべての作物が伸びているわけではありません。

いちごは約90%まで縮小しています。

ただし、この数字には注意が必要です。

いちご狩りのような体験型需要は含まれていません。

つまり、市場データだけでは見えない需要も存在しています。

数字だけを見るのではなく、

「どのような需要が生まれているのか」

まで考えることが重要です。

5.ライフスタイルの変化が需要を変えている

同じ野菜でも、時代によって需要は変化します。

例えば30年前は、きゅうりが市場規模1位でした。

当時は漬物文化が中心だったためです。

しかし現在はサラダ文化が定着し、

トマトや葉物野菜など、日常的に利用しやすい野菜の需要が伸びています。

つまり、

市場は量だけで決まるものではありません。

  • 食べ方
  • ライフスタイル
  • 健康志向

こうした変化によっても大きく変わります。

農業市場を理解するためには、

単純な人口推移だけではなく、

生活者の変化を見る必要があります。

6.担い手は減っているのに市場は伸びている

一方で農業の担い手は大きく減少しています。

主に農業で生計を立てている基幹的農業従事者は、この20年で半分以下の水準まで減少しました。

さらに高齢化も進んでいます。

通常であれば、

供給が減れば市場も縮小します。

しかし農業ではそうなっていません。

なぜなら、

需要と供給が別々に動いているからです。

需要は消費者の行動によって決まります。

一方で供給は、生産者の数によって決まります。

つまり、

消費は増えているのに、作る人は減っている

という状態が発生しています。

これが現在の農業市場です。

7.なぜ企業参入が増えているのか

こうした需給ギャップがあるため、農業への企業参入は増加しています。

実際、農業分野へ参入する一般法人は、この20年で数十社規模から数千社規模まで増加しています。

しかし、

企業が増えているから競争が激しい。

そう単純に考えることはできません。

農業には他の業界とは異なる構造があります。

そのため、

「参入企業が増える=競争激化」

という前提が、そのまま当てはまらない場面もあります。

8.農業市場で起きている4つの変化

ここまでを整理すると、

現在の農業市場では、

  • 市場は伸びている
  • 人口は微減している
  • 担い手は激減している
  • 企業参入は増えている

という4つの現象が同時に起きています。

通常の業界では考えにくい状態です。

そのため、

「農業は衰退産業」

という見方だけでは、実態を正しく捉えることができません。

重要なのは、

市場が伸びていることだけを見るのではなく、

その背景にある構造を理解することです。

9.企業の農業参入で重要な視点

農業は、

人口が減っている中でも市場が伸びている一方で、

担い手は減り続けています。

つまり、

縮小と拡大が同時に起きている市場

です。

この構造をどう捉えるか。

ここが、企業の農業参入を判断する際の重要な出発点になります。

市場規模だけではなく、

需要と供給の関係、

そして市場構造そのものを見ることが重要です。

次に見る動画

まずはこちら

【市場編 総まとめ】農業市場は本当にチャンスなのか


テーマ別に学ぶ

【市場①】競合減×市場増|なぜ農業は「需要に供給が追いつかない市場」なのか


【市場③】中小企業にとって農業は本当にチャンスなのか――大企業じゃなくていいように見える理由


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