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※7/19公開予定【失敗編】農業参入がうまくいかない本当の理由―なぜ同じ失敗を繰り返してしまうのか

1.農業参入の失敗は運やセンスで決まるものではない

農業参入がうまくいかない理由は、実はかなりシンプルです。

農業の失敗は、運が悪かったから起きるわけでも、担当者にセンスがなかったから起きるわけでもありません。

多くの失敗事例を整理すると、原因はほぼ決まっています。

ただし、そのシンプルな原因に気づかないまま、事業を進めてしまうケースが少なくありません。

ここまで、農業参入で失敗する理由や、よくある失敗パターンを見てきました。

今回は、そこからさらに一歩踏み込んで、農業参入がうまくいかない本質的な構造を整理します。

2.農業参入で起きる3つのズレ

農業参入で起きているズレは、大きく3つあります。

・前提のズレ

・順番のズレ

・再現性のズレ

この3つです。

それぞれは別の問題に見えますが、実際には互いにつながっています。

事業が成立する前提を確認しないまま始める。

必要な順番を飛ばして、規模や販売を先に進める。

さらに、特定の人に依存し、同じ結果を出し続けられない。

こうしたズレが積み重なることで、農業参入は計画通りに進まなくなります。

農業参入の失敗は、突然起きるものではありません。

小さなズレが積み重なった結果として表面化します。

3.【ズレ①】事業成立の検証が不足する「前提のズレ」

一つ目は、前提のズレです。

農業参入がうまくいかない背景には、収益化を前提とした事前の検証が不十分なまま、事業を始めてしまうことがあります。

本来、新規事業に取り組む場合は、始める前に、

「本当に事業として成立するのか」

を確認するはずです。

しかし農業では、この検証プロセスが抜けてしまうことがあります。

例えば、

「まずやってみよう」

「土地があるから始めよう」

「補助金があるから進めよう」

といった判断です。

土地や補助金は、農業を始めるきっかけにはなります。

ただし、それだけで事業として成立するわけではありません。

始める理由と、成立する理由は別です。

この二つを混同すると、収益構造が曖昧なまま事業が始まってしまいます。

4.なぜ農業では前提のズレが起きるのか

では、なぜ農業では、事前の検証が不足したまま参入してしまうのでしょうか。

背景には、農業に対する認識があります。

「農業は遅れている」

「昔から変わっていない」

「自社のノウハウを入れれば改善できる」

といった見方です。

その結果、

「本業で成功しているから農業でもできる」

「資金があるから大丈夫」

「売る力があるから何とかなる」

という判断につながります。

しかし、本業で成功していることと、農業で安定して事業を続けられることは同じではありません。

ここが、前提のズレが生まれる大きなポイントです。

農業は、お金や規模だけで成立する事業ではありません。

どのくらい作るのか。

どのくらい売るのか。

どこで利益が出るのか。

こうした前提を事前に決め、成立可能性を確認する必要があります。

前提が曖昧なまま進めてしまうと、事業を始めた後で調整が効かなくなります。

5.農業は始めた後の方向転換が難しい

農業は、一度始めると、簡単に方向転換できる事業ではありません。

施設、作物、体制、販路。

これらが固まるほど、修正の難易度は上がります。

例えば、施設を建てた後に作物を変えようとしても、設備が新しい作物に適しているとは限りません。

作物を決めた後に販売先を見直しても、求められる品質や数量が合わない可能性があります。

人員を採用し、現場体制をつくった後で運営方法を変えれば、現場にも大きな負担がかかります。

そのため農業参入では、始めてから考えるのではなく、始める前に前提を整理する必要があります。

「まず始めて、後から修正すればよい」

という進め方が通用しにくい事業だからこそ、事前の検証が重要になります。

6.【ズレ②】売ることや規模を先に進める「順番のズレ」

二つ目は、順番のズレです。

農業参入では、「売ること」や「規模」に意識が向きやすくなります。

販路をつくる。

ブランドをつくる。

大きな施設をつくる。

もちろん、どれも事業を成長させるうえで必要になる場面があります。

ただし、進める順番が逆になると、後から必ず問題が起きます。

例えば、

売り先はあるのに、品質が揃わない。

注文はあるのに、必要な量を出せない。

大きな施設はあるのに、安定して栽培できない。

こうした状態です。

農業では、「売ること」よりも先に、「安定して作れるか」を整える必要があります。

販路やブランドがあっても、安定して商品を供給できなければ、継続的な事業にはなりません。

規模を拡大しても、栽培が安定していなければ、問題まで大きくなります。

何をするかだけではなく、どの順番で進めるかが重要です。

7.【ズレ③】特定の人に依存する「再現性のズレ」

三つ目は、再現性のズレです。

農業参入の現場では、最初に経験のある栽培責任者を採用し、その人に任せることで、何とか現場が回ることがあります。

栽培責任者の知識や経験によって、一定の収量や品質を確保できるケースもあります。

ただし、その状態が特定の人の経験や感覚に依存している場合、その人がいなくなった瞬間に、同じやり方ができなくなります。

担当者が変わる。

退職する。

長期間休む。

こうした変化が起きたときに、現場が崩れてしまうリスクがあります。

一人の担当者が成果を出せることと、組織として同じ成果を出し続けられることは別です。

事業として安定させるためには、

・どのような判断をしたのか

・どのような作業を行ったのか

・どの数値を確認したのか

といった内容を、組織として共有できる状態にする必要があります。

同じ方法で、同じ結果を継続して出せなければ、事業としての再現性はありません。

人に依存した状態のままでは、農業事業を安定して継続することが難しくなります。

8.同じ失敗が繰り返される本当の理由

ここまで整理してきたように、農業参入の失敗は特別なものではありません。

前提のズレ。

順番のズレ。

再現性のズレ。

この3つが重なった結果として起きています。

収益化の前提を十分に確認しないまま始める。

安定して作れる状態を整える前に、販売や規模を先に進める。

さらに、栽培を特定の人に依存し、組織として同じ結果を出せない。

この流れに入ると、個別の問題を修正しても、根本的なズレは残ったままになります。

売上が足りなければ販路を増やす。

収量が足りなければ規模を広げる。

現場が回らなければ経験者を採用する。

こうした対応を行っても、前提や順番がズレたままでは、別の場所で同じ問題が起きます。

農業参入の問題は、「何が足りないか」だけではありません。

どこでズレているのかを見つけることが重要です。

農業の失敗は、偶然ではありません。

ほとんどが、このズレの積み重ねです。

では、何を基準に判断すればよいのでしょうか。

答えはシンプルです。

売上がどのように決まるのか。

ここを知らないままでは、事業としての判断はできません。

農業参入は、思いつきでは成立しません。

重要なのは、「何が足りないか」ではなく、「どこでズレるか」を整理することです。

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テーマ別に学ぶ

【失敗①】なぜ大企業でも農業で失敗するのか|規模では越えられない農業参入の現実

【失敗②】農業参入でよくある6つの失敗パターン|ほとんどはこの型に収まる


【市場編】

【市場編 総まとめ】農業市場は本当にチャンスなのか

 

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