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【失敗編】なぜ大企業でも農業で失敗するのか|規模では越えられない農業参入の現実

1.なぜ大企業でも農業で失敗するのか

農業というと、

「資金がある会社なら成功できるのではないか」

「販路がある会社なら有利なのではないか」

そう考える方も少なくありません。

しかし実際には、大企業でも農業から撤退しているケースは数多く存在します。

数十億円規模の投資を行っても、事業として継続できずに撤退する事例は珍しくありません。

なぜこのようなことが起きるのでしょうか。

その理由はシンプルです。

多くの失敗企業に共通しているのは、

「農業の前提を外していること」

です。

今回は、大企業でも農業で失敗してしまう理由と、その背景にある前提のズレについて整理します。

2.実際にあった農業参入の失敗事例

まずは実際の事例を見てみましょう。

ある電機メーカーは、20億円を投じて約7haの温室でトマト栽培に挑戦しました。

しかし、病害の発生や栽培技術の不足によって生産が安定せず、撤退しています。

また、あるアパレル企業は全国の生産者と契約し、販売先を確保したうえで野菜を生産し、インターネットで定期販売するモデルに取り組みました。

しかし、価格や仕組みが市場に受け入れられず、事業継続には至りませんでした。

さらに、大手飲食チェーンでは約9haの露地栽培を行い、自社店舗への供給を計画しました。

ところが農地が分散していたことで効率が上がらず、栽培技術の壁もあり、店舗で使用できる品質基準を満たす作物を十分に確保できませんでした。

結果として、こちらも撤退しています。

業種も規模も異なりますが、これらの事例には共通点があります。

それが、

「農業の前提を外していること」

です。

3.なぜ資金や販路があっても成功しないのか

資金がある。

販路がある。

知名度がある。

それにもかかわらず、なぜ農業ではうまくいかないのでしょうか。

ここに農業参入で最も起きやすい認識のズレがあります。

農業は、規模や資金だけで成立する事業ではありません。

しかし実際には、

「大きくやれば安定する」

「販路があれば売れる」

「自社の強みが活かせる」

と考えて参入するケースが少なくありません。

もちろん、これらは事業を進めるうえでの強みになります。

ただし、それだけで農業事業が成立するわけではありません。

4.農業は「作れなければ始まらない」

農業で最も重要なのは、安定して作れることです。

出荷も販売も、まずは生産が安定していなければ成立しません。

ところが企業参入では、

・どこに売るか

・どれくらいの規模でやるか

・どのように収益化するか

に意識が向きやすくなります。

しかし現実には、

「安定して作れること」

がすべての前提になります。

農業参入で失敗する企業の多くは、この順番を見誤っています。

5.なぜ属人化が経営リスクになるのか

農業参入の現場では、経験豊富な栽培責任者に依存してしまうケースがよくあります。

最初はその人の力によって農場が立ち上がります。

しかし、

・体調不良

・方針の違い

・退職

といったことが起きた瞬間に、現場が機能しなくなることがあります。

すると、

・品質が安定しない

・収量が落ちる

・出荷量が確保できない

という問題が発生します。

ここで重要なのは、人が辞めたことそのものではありません。

問題は、技術やノウハウが組織に残っていないことです。

つまり、再現性がない状態です。

再現性がなければ、事業として安定しません。

これは人材の問題ではなく、経営の問題です。

どれだけ優秀な人材がいたとしても、その人に依存している限り、事業は不安定なままです。

6.なぜ現場と本部はズレるのか

農業参入では、現場と本部の認識のズレも頻繁に発生します。

最初は現場主導で進みます。

しかし、収量不足や収益悪化などの課題が出てくると、本部が介入し始めます。

そこで起きるのが、

現場は栽培を優先する。

本部は数字を優先する。

という対立です。

どちらも間違っているわけではありません。

問題は、前提が揃っていないことです。

例えば、本部は売上を増やしたいと考えます。

だから出荷量を増やしたい。

しかし現場では、生き物を相手にしているため、すぐに増産できるわけではありません。

無理な増産は品質低下や収量低下を招く可能性があります。

こうして経営判断と栽培判断が衝突し、組織全体が不安定になっていきます。

7.なぜ既存事業の成功体験が通用しないのか

農業参入で起きやすいもう一つのズレが、

既存事業の延長で考えてしまうことです。

販売力がある会社は売る力で解決できると考えます。

資金力がある会社は設備投資で解決できると考えます。

ブランド力がある会社は高く売れると考えます。

しかし農業は、既存事業とは異なる事業です。

毎日変化する作物を相手にする以上、計画通りに進まないことを前提にしなければなりません。

そのため、他業界で成功したやり方をそのまま持ち込んでも、うまくいかないケースが多くあります。

8.企業の農業参入で本当に重要なこと

農業参入の失敗は、ある日突然起きるわけではありません。

多くの場合、

・想定した収量が出ない

・品質が安定しない

・人材が育たない

・出荷量が揃わない

といった小さなズレから始まります。

そして、そのズレが積み重なることで、最終的に事業全体が崩れていきます。

重要なのは、特別な失敗をしているわけではないということです。

農業の前提を外したまま進めると、自然な流れの中で失敗に向かってしまいます。

農業参入で本当に怖いのは、参入することそのものではありません。

前提を外したまま大きく始めてしまうことです。

大きく始めるほど、投資額や人件費、固定費は重くなり、後から修正することが難しくなります。

規模や資金は確かに強みになります。

しかし、それだけでは農業事業は成立しません。

まず必要なのは、農業という事業の前提を正しく理解することです。

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【失敗②】農業参入でよくある6つの失敗パターン|ほとんどはこの型に収まる

【失敗③】農業参入がうまくいかない本当の理由―なぜ同じ失敗を繰り返してしまうのか


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