東京都で農業参入を検討される企業様へ

東京都の概要
地理的位置:関東地方の中央に位置し、日本の政治・経済・文化の中心地です。都市部に加えて多摩地域や島しょ部も含まれます。
人口・面積:2024年時点で人口は約1,390万人。面積は約2,194km²で、都市化が進んでいる一方、農地も点在しています。
経済の特徴:サービス業と金融・情報が中心ですが、都市型農業も一部地域で維持されています。
東京都の主要都市
- 中核都市:23区(新宿・渋谷・港など)、立川市、八王子市など。
- 交通アクセス:国内外を結ぶ空港・新幹線・地下鉄網が極めて発達しています。
- ビジネス・流通:消費地として圧倒的規模を持ち、都市農産物の直売やマルシェなどが活発です。
東京都の気候特性
- 年間気温・降水量:温暖な気候で日照時間も長く、栽培適性のある期間が比較的長いです。
- 冬季・夏季の特徴:冬は乾燥し寒さは穏やか、夏は高温多湿で熱中症対策が必要です。
- 農業への影響:施設栽培や直売所経営に適した都市近郊型の農業スタイルが展開されています。
東京都の農業事情
- 特産物とブランド力:江戸東京野菜、とうもろこし(立川産)、小松菜(江戸川区)などが注目されています。
- 主要栽培品目:小松菜、トマト、とうもろこし、なす、花卉。
- 新たな動き:都市型農業、教育・福祉と農業の連携、スマート農業導入が進行中です。
Opportunity中小企業にとって農業参入が
チャンスがある理由
- 会社や投資金額の規模で必ず成功する事業ではないからこそ中小企業にもチャンスがある
- 将来の柱となる事業へと育てられる
- 長い目でみれば、収益が期待できる事業である
- 農業事業の評価・評判が高まれば、本業にもプラスになる
- 減価償却費が高いため本業で利益が出ているのであれば節税効果が見込める
- 既存事業で活躍できていない社員を活かせられる可能性が広がる
- 難しいといわれる農業事業で成功すれば、企業ブランドが高まる
- 世の中に必要とされる事業である
日本の農業の現状から考えれば、劇的な生産性の向上が必要となります。つまり、日本の農業はこれから大きく変化し、加速度的に新たな取り組みが進む時期にきていると断言できます。
農業を取り巻く環境は、2兆円以上のマーケットがあります。その多くのプレイヤーの多くが入れ替わり、新しい市場に変わる魅力的なマーケットなのです。また、現段階では寡占化した企業もないため、将来の農業ビッグカンパニーは、今参入される皆様です。「食」としての農業から、飲食業・観光業・教育・商品開発・アジアなどへの海外進出などといったビジネスチャンスが広がっています。
新規参入だからこそ、リスクはもちろん存在します。
しかし、「先行者利益(ファースト・ムーバーズ・アドバンテージ)」と言われる市場を開拓したパイオニアだけ得られるメリットを、我々と共に獲得しましょう。
Report東京都の農業事情を知る!
東京都生鮮野菜の市場規模と人口

東京都区部の生鮮野菜市場規模は、2005年の約3,409億円から2023年には約4,712億円へと増加し、約38.2%の変化が見られました。同期間の人口変化は17.0%であり、市場規模の変化率が人口の変化を大きく上回っています。全国平均では市場規模が約20.2%、人口は約-2.7%の変化であることから、東京都区部は全国とは少し異なる傾向を示しています。東京都区部では人口の増加率以上に生鮮野菜市場規模の伸びが顕著です。
東京都経営耕地面積別の農業経営体数の割合

東京県では、地域特性を活かした農業経営が行われています。 東京の農業経営体のうち、経営耕地面積1ha未満の構成比は全体の82.8%であり、全国平均(52.6%)と比べて高い水準にあります。特に「0.3~1.0ha」の経営体は61.6%を占め、小規模農業者が多数を占めている構造です。また、「0.3ha未満」の構成比は20.9%で、全国の3.3%と比較するとやや高めです。「経営耕地なし」の経営体は0.4%で、全国平均(1.6%)より低い水準となっています。一方、10ha以上の大規模経営体は0.2%にとどまり、大規模経営は少なく、小規模・家族経営が主流となっている点が特徴です。 こうした背景を知ることで、農業参入や地域ビジネスの可能性も見えやすくなります。東京県では、小規模な農業が比較的多く、地域に根ざした営農が中心です。
東京都販売規模別の農業経営体数の割合

東京の農業経営体における販売規模別構成比を見ると、最も多い層は「販売なし~100万円」で全体の49.4%を占めています。 「販売なし~100万円」は49.4%で、全国平均(52.1%)と比べて全国平均より低い水準です。 「100~500万円」は35.7%で、全国平均(27.5%)と比べて全国平均より高い水準です。 「500~1,000万円」は9.6%で、全国平均(8.5%)と比べて全国平均より高い水準です。 「1,000~5,000万円」は4.8%で、全国平均(9.9%)と比べて全国平均より低い水準です。 「5,000万円~」は0.4%で、全国平均(2.0%)と比べて全国平均より低い水準です。 自家消費型や副業的な農業が中心で、単体での収益確保は難しい地域です。
東京都年齢階層別(経営主)の農業経営体数の割合

東京では「60代」の層が最も多く、全体の28.7%を占めています。 「40代以下」は5.3%で、全国平均(7.6%)と比べて全国平均より低い水準です。 「50代」は11.5%で、全国平均(13.9%)と比べて全国平均より低い水準です。 「60代」は28.7%で、全国平均(34.1%)と比べて全国平均より低い水準です。 「70代」は28.2%で、全国平均(30.7%)と比べて全国平均より低い水準です。 「80代以上」は26.3%で、全国平均(13.6%)と比べて全国平均より高い水準です。 東京では、80代以上の割合が全国平均を上回っており、事業継続が困難になる恐れが現実味を帯びています。今後の農業を支える担い手の確保が喫緊の課題です。
東京都販売目的の作物別作付面積の割合

東京では「野菜類」の作付面積が最も多く、全体の31.2%を占めています。 「水稲」は12.0%で、全国平均より少ない水準です。 「畑作」は27.6%で、全国平均より少ない水準です。 「野菜類」は31.2%で、全国平均より多い水準です。 「果樹類」は0.5%で、全国平均より少ない水準です。 「花き類・花木」は20.3%で、全国平均より多い水準です。 「その他」は8.3%で、全国平均より少ない水準です。 東京でも他府県と同様、野菜の作付面積が大きく、比較的収益性の高い作物への取り組みが広がっていることがうかがえます。 花き類・花木も全国より高い水準にあり、観賞用作物の生産が地域農業に彩りを加えています。野菜を主軸とした農業構造が特徴で、地の利を活かした出荷体制や品質向上の取り組みが求められます。野菜類の作付が盛んで、販売単価の高い作物による収益性の向上が図られています。
東京都トマトの作付面積と反収

最近では、企業による農業分野への参入が増えており、中でもトマト栽培は有力な選択肢の一つとして注目されています。
トマト栽培は企業の参入が多いと聞きますが、競合が激しいのではないかという声をいただくこともあります。
最近は、農業の可能性に着目する企業が増えており、その中でもトマトは栽培事例が豊富な作物として注目されています。
「トマトは人気がある分、もう競合が多すぎるのでは?」というご相談を受けることがあります。
東京では、2015年から2022年にかけて大玉トマトの作付面積が約11%減少(87ha→77ha)。一方、同じ期間に10aあたりの収穫量(反収)は約8%減少(4,828kg→4,436kg)となっています。全国では、作付面積が約13%減少(9,283ha→8,075ha)、反収は約7%増加(6,062kg→6,512kg)。
東京では、2015年から2022年にかけてミニトマトの作付面積が約150%増加(2ha→5ha)。一方、同じ期間に10aあたりの収穫量(反収)は約15%増加(2,330kg→2,680kg)となっています。全国では、作付面積が約16%増加(2,320ha→2,690ha)、反収は横ばい(5,660kg→5,850kg)。
東京の大玉トマトとミニトマトの作付面積の推移を見ると、
・大玉トマト:87ha → 77ha(▲11%)
・ミニトマト:2ha → 5ha(+150%)
このことから、大玉トマトの競合は減っている、ミニトマトの競合は増えているといえます。
Flow農業参入までの流れ
-
step1
農業参入の目的
詳細
耕作放棄地の増加や農業者の高齢化といった社会問題への貢献や、農業ビジネスの収益化を目指した先行投資などを目的に参入される企業が増加しています。
しかし、投資採算性が見込めないようであれば農業を続けていくことは難しいといえます。だからこそ、外部環境や自社分析を行ったうえで、何のために農業参入するのかといった目的を明確にしましょう。
-
step2
栽培品目と栽培技術の選定
詳細
農業が成功するかどうかは、栽培品目とその品目の栽培技術でほぼ99%決まると言っても過言ではありません。
農業参入時において、最も難しいことは「栽培技術の見極め」であるといえます。農業参入を決定する前に、必ず「栽培品目と栽培技術の選定」にじっくり時間をかけて事前調査を進めてください。
-
step3
農地の確保
詳細
栽培品目と栽培技術の選定が終わり、農業参入を意思決定した後、農地の確保を進める必要があります。
「農地を借りる」または「農地を買う」といった場合には農地が所在する市町村の「農業委員会」の許可が必要です。
ただ法人の場合は、「農地所有適格法人」の要件を満たさないと「農地を買う」ことはできません。したがって、「農地を借りる」ことにより、農業参入する場合が多いです。
-
step4
事業計画の策定
詳細
自社分析や農業事情や市場調査などを行った上で、事業計画を策定します。
5か年の収支計画や農業ハウスや農業機械などの投資計画、融資交渉、人員計画などを具体的に計画づくりを行います。
-
step5
栽培研修
詳細
栽培品目ごとに差異はありますが、基本的な栽培作業の流れはさほど難しくありません。理由としては、「周期ごとに同じ作業が続く=ルーティン」だからです。栽培の流れを理解し、研修などを行うことで少しでも不安を解消しましょう。
-
step6
定植準備
詳細
ハウス建設や農業機械の納入、苗や肥料など農業資材発注などを行い、定植に備えます。
栽培が始まってからでは、なかなか時間が割くことが難しいため、農場のロゴや商品パッケージ、HPやSNS、営業ツールなどの整備も合わせて行っておくことをおすすめします。
-
step7
栽培開始
詳細
想定の収穫量を確保するためには、栽培の安定が重要です。栽培が安定した後は、作業効率化にも取り組んでいきましょう。農業の高収益化のためには「人件費コントロール」も重要な要素です。まずは、農場の5Sの徹底から、さらには効率的かつ効果的な作業手順や作業方法を模索していきましょう。
-
step8
販売開始
詳細
どれだけ高品質だったとしても、㎏単価をより高く設定するために、最も重要なのは「販路数」です。
販路数が少ない場合、1店舗や1社で販売する量がどうしても増えてしまいます。鮮度があるためどうしても値引きをして売ってしまわなくてはなりません。一方で販路数が多ければ多いほど、強気で売価設定できます。したがって、地道に販路開拓を進めていきましょう。
the name of the game農業参入における最重要ポイント

プロの農家さんと同じやり方で、未経験の企業が農業参入しても、うまくいくはずがありません。また農業を事業として行うのであれば、「収益化」しなければ続けることは難しいでしょう。
農業の売上の公式は、農業売上=㎏単価×収量です。
「㎏単価」を決める大きな要素は「品質」です。
「収量」で重要なのは「反収UP」です。
この「品質」と「収量」を決めるのは、栽培施設でも栽培設備でも農業機械でもありません。会社の規模の大小や、投資金額の大小で決まるわけではありません。
農業参入時において見極めなくてはならないのは、「栽培技術」なのです。
また、栽培品目をただやみくもに広げることもおすすめしません。その最大の理由は、栽培技術が伴わなければ成功は見込めないからです。
栽培品目と栽培技術の決定に時間と労力をかけ、農業参入を成功させましょう。
また、栽培品目の選び方や栽培技術の見極め方について詳しく知りたい方は、「企業のための農業参入」無料説明会をお申込みください。