北海道で農業参入を検討される企業様へ

北海道の概要
地理的位置:北海道は日本の最北端に位置し、広大な面積を持つ島全体が都道府県として成立しています。四方を海に囲まれ、寒冷な気候と大自然に恵まれた地域です。面積は約83,424km²で、全国の約22%を占めています。
人口・面積:2024年時点で人口は約507万人。ピーク時から減少傾向が続き、都市部と地方での人口格差が課題となっています。
経済の特徴:農業、酪農、漁業が盛んで、特に農業ではじゃがいも、小麦、乳製品の生産量が日本一を誇ります。
北海道の主要都市
- 中核都市:札幌市(約195万人)は道内最大の都市であり、道政・経済・文化の中心です。その他、旭川市(約32万人)、函館市(約24万人)なども重要な都市です。
- 交通アクセス:新千歳空港や札幌駅を中心に、道内外を結ぶ交通インフラが整っています。
- ビジネス・流通:広大な土地を活かした食品加工業、観光業、物流業が発展しています。
北海道の気候特性
- 年間気温・降水量:冷涼で湿度が低く、地域によっては冬の積雪量が非常に多いのが特徴です。夏も比較的涼しく、避暑地としても人気があります。
- 冬季・夏季の特徴:冬は長く厳しい寒さが続き、内陸部では氷点下20℃を下回ることもあります。夏は短く過ごしやすいため、農業に適した作物が選ばれます。
- 農業への影響:てんさい、とうもろこし、小麦など冷涼な気候に適した品目が多く栽培されています。
北海道の農業事情
- 特産物とブランド力:全国トップの生産量を誇るじゃがいもや玉ねぎ、牛乳は全国に流通し、高い評価を得ています。
- 主要栽培品目:小麦、豆類(大豆・小豆)、てんさい、メロン、アスパラガスなど多岐にわたります。
- 新たな動き:スマート農業の導入が進み、GPSトラクターやドローンを活用した精密農業が普及。大規模経営体による6次産業化や輸出拡大も注目されています。
Opportunity中小企業にとって農業参入が
チャンスがある理由
- 会社や投資金額の規模で必ず成功する事業ではないからこそ中小企業にもチャンスがある
- 将来の柱となる事業へと育てられる
- 長い目でみれば、収益が期待できる事業である
- 農業事業の評価・評判が高まれば、本業にもプラスになる
- 減価償却費が高いため本業で利益が出ているのであれば節税効果が見込める
- 既存事業で活躍できていない社員を活かせられる可能性が広がる
- 難しいといわれる農業事業で成功すれば、企業ブランドが高まる
- 世の中に必要とされる事業である
日本の農業の現状から考えれば、劇的な生産性の向上が必要となります。つまり、日本の農業はこれから大きく変化し、加速度的に新たな取り組みが進む時期にきていると断言できます。
農業を取り巻く環境は、2兆円以上のマーケットがあります。その多くのプレイヤーの多くが入れ替わり、新しい市場に変わる魅力的なマーケットなのです。また、現段階では寡占化した企業もないため、将来の農業ビッグカンパニーは、今参入される皆様です。「食」としての農業から、飲食業・観光業・教育・商品開発・アジアなどへの海外進出などといったビジネスチャンスが広がっています。
新規参入だからこそ、リスクはもちろん存在します。
しかし、「先行者利益(ファースト・ムーバーズ・アドバンテージ)」と言われる市場を開拓したパイオニアだけ得られるメリットを、我々と共に獲得しましょう。
Report北海道の農業事情を知る!
北海道生鮮野菜の市場規模と人口

札幌市の生鮮野菜市場規模は、2005年の約526億円から2023年には約710億円へと増加し、約35.1%の変化が見られました。同期間の人口変化は4.5%であり、市場規模の変化率が人口の変化を大きく上回っています。全国平均では市場規模が約20.2%、人口は約-2.7%の変化であることから、札幌市は全国とは似た傾向を示しています。消費スタイルの変化が進んでおり、札幌市では人口動向とは異なる需要の伸びが見てとれます。
北海道経営耕地面積別の農業経営体数の割合

北海道では、広大な農地を活かしたスケールの大きな農業が展開されています。農業経営体のうち、経営耕地面積が1ha未満の構成比は全体の9.0%と、全国平均の52.6%に比べてかなり低い水準にあります。特に「0.3~1.0ha」の経営体は5.4%、「0.3ha未満」は1.1%といずれも全国平均を下回っており、小規模経営の比率が少ないのが特徴です。その一方で、「経営耕地なし」は2.5%と、全国平均(1.6%)よりやや高くなっています。注目すべきは「10ha以上」の構成比で、全体の65.0%を占めており、大規模経営体が非常に多い地域であることがわかります。こうした背景を知ることで、農業参入や地域ビジネスの可能性も見えやすくなります。北海道では、大規模経営が進んでいる傾向があります。
北海道販売規模別の農業経営体数の割合

北海道の農業経営体における販売規模別構成比を見ると、最も多い層は「1,000~5,000万円」で全体の47.3%を占めています。 「販売なし~100万円」は10.6%で、全国平均(52.1%)と比べて全国平均より低い水準です。 「100~500万円」は12.4%で、全国平均(27.5%)と比べて全国平均より低い水準です。 「500~1,000万円」は12.2%で、全国平均(8.5%)と比べて全国平均より高い水準です。 「1,000~5,000万円」は47.3%で、全国平均(9.9%)と比べて全国平均より高い水準です。 「5,000万円~」は17.5%で、全国平均(2.0%)と比べて全国平均より高い水準です。 販売力を備えた経営が多く、農業を主業とする層が一定数存在しています。
北海道年齢階層別(経営主)の農業経営体数の割合

北海道では「60代」の層が最も多く、全体の28.4%を占めています。 「40代以下」は28.3%で、全国平均(7.6%)と比べて全国平均より高い水準です。 「50代」は23.5%で、全国平均(13.9%)と比べて全国平均より高い水準です。 「60代」は28.4%で、全国平均(34.1%)と比べて全国平均より低い水準です。 「70代」は14.6%で、全国平均(30.7%)と比べて全国平均より低い水準です。 「80代以上」は5.1%で、全国平均(13.6%)と比べて全国平均より低い水準です。 北海道では、農業経営体の高齢化が進行しており、将来に向けた持続可能な体制づくりが求められます。
北海道販売目的の作物別作付面積の割合

北海道では「畑作」の作付面積が最も多く、全体の46.0%を占めています。 「水稲」は11.9%で、全国平均より少ない水準です。 「畑作」は46.0%で、全国平均より多い水準です。 「野菜類」は9.9%で、全国平均より多い水準です。 「果樹類」は0.6%で、全国平均より少ない水準です。 「花き類・花木」は0.2%で、全国平均より少ない水準です。 「その他」は31.4%で、全国平均より多い水準です。 北海道でも他府県と同様、地域特性を活かした多様な営農が展開されています。畑作が主要な作付体系を形成しており、土地利用の工夫や輪作体系の確立が地域経営の鍵を握っています。畑作作物の比重が高く、土地利用型農業として機械化や規模拡大が進行しています。
北海道トマトの作付面積と反収

最近では、企業による農業分野への参入が増えており、中でもトマト栽培は有力な選択肢の一つとして注目されています。
トマト栽培は企業の参入が多いと聞きますが、競合が激しいのではないかという声をいただくこともあります。
企業が農業事業を検討する際、栽培管理のしやすさや市場性の高さからトマトを候補に挙げるケースが多く見られます。
「トマトは人気がある分、もう競合が多すぎるのでは?」というご相談を受けることがあります。
北海道では、2015年から2022年にかけて大玉トマトの作付面積が約18%減少(578ha→473ha)。一方、同じ期間に10aあたりの収穫量(反収)は約20%増加(8,037kg→9,610kg)となっています。全国では、作付面積が約13%減少(9,283ha→8,075ha)、反収は約7%増加(6,062kg→6,512kg)。
北海道では、2015年から2022年にかけてミニトマトの作付面積が約5%増加(284ha→299ha)。一方、同じ期間に10aあたりの収穫量(反収)は横ばい(5,070kg→4,950kg)となっています。全国では、作付面積が約16%増加(2,320ha→2,690ha)、反収は横ばい(5,660kg→5,850kg)。
北海道の大玉トマトとミニトマトの作付面積の推移を見ると、
・大玉トマト:578ha → 473ha(▲18%)
・ミニトマト:284ha → 299ha(+5%)
このことから、大玉トマトの競合は減っている、ミニトマトの競合は増えているといえます。
Flow農業参入までの流れ
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step1
農業参入の目的
詳細
耕作放棄地の増加や農業者の高齢化といった社会問題への貢献や、農業ビジネスの収益化を目指した先行投資などを目的に参入される企業が増加しています。
しかし、投資採算性が見込めないようであれば農業を続けていくことは難しいといえます。だからこそ、外部環境や自社分析を行ったうえで、何のために農業参入するのかといった目的を明確にしましょう。
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step2
栽培品目と栽培技術の選定
詳細
農業が成功するかどうかは、栽培品目とその品目の栽培技術でほぼ99%決まると言っても過言ではありません。
農業参入時において、最も難しいことは「栽培技術の見極め」であるといえます。農業参入を決定する前に、必ず「栽培品目と栽培技術の選定」にじっくり時間をかけて事前調査を進めてください。
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step3
農地の確保
詳細
栽培品目と栽培技術の選定が終わり、農業参入を意思決定した後、農地の確保を進める必要があります。
「農地を借りる」または「農地を買う」といった場合には農地が所在する市町村の「農業委員会」の許可が必要です。
ただ法人の場合は、「農地所有適格法人」の要件を満たさないと「農地を買う」ことはできません。したがって、「農地を借りる」ことにより、農業参入する場合が多いです。
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step4
事業計画の策定
詳細
自社分析や農業事情や市場調査などを行った上で、事業計画を策定します。
5か年の収支計画や農業ハウスや農業機械などの投資計画、融資交渉、人員計画などを具体的に計画づくりを行います。
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step5
栽培研修
詳細
栽培品目ごとに差異はありますが、基本的な栽培作業の流れはさほど難しくありません。理由としては、「周期ごとに同じ作業が続く=ルーティン」だからです。栽培の流れを理解し、研修などを行うことで少しでも不安を解消しましょう。
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step6
定植準備
詳細
ハウス建設や農業機械の納入、苗や肥料など農業資材発注などを行い、定植に備えます。
栽培が始まってからでは、なかなか時間が割くことが難しいため、農場のロゴや商品パッケージ、HPやSNS、営業ツールなどの整備も合わせて行っておくことをおすすめします。
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step7
栽培開始
詳細
想定の収穫量を確保するためには、栽培の安定が重要です。栽培が安定した後は、作業効率化にも取り組んでいきましょう。農業の高収益化のためには「人件費コントロール」も重要な要素です。まずは、農場の5Sの徹底から、さらには効率的かつ効果的な作業手順や作業方法を模索していきましょう。
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step8
販売開始
詳細
どれだけ高品質だったとしても、㎏単価をより高く設定するために、最も重要なのは「販路数」です。
販路数が少ない場合、1店舗や1社で販売する量がどうしても増えてしまいます。鮮度があるためどうしても値引きをして売ってしまわなくてはなりません。一方で販路数が多ければ多いほど、強気で売価設定できます。したがって、地道に販路開拓を進めていきましょう。
the name of the game農業参入における最重要ポイント

プロの農家さんと同じやり方で、未経験の企業が農業参入しても、うまくいくはずがありません。また農業を事業として行うのであれば、「収益化」しなければ続けることは難しいでしょう。
農業の売上の公式は、農業売上=㎏単価×収量です。
「㎏単価」を決める大きな要素は「品質」です。
「収量」で重要なのは「反収UP」です。
この「品質」と「収量」を決めるのは、栽培施設でも栽培設備でも農業機械でもありません。会社の規模の大小や、投資金額の大小で決まるわけではありません。
農業参入時において見極めなくてはならないのは、「栽培技術」なのです。
また、栽培品目をただやみくもに広げることもおすすめしません。その最大の理由は、栽培技術が伴わなければ成功は見込めないからです。
栽培品目と栽培技術の決定に時間と労力をかけ、農業参入を成功させましょう。
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