福島県
農業参入を検討する企業が知っておくべきこと

福島県で農業参入を検討される企業様へ

福島県の概要

地理的位置:福島県は東北地方の南部に位置し、太平洋から内陸まで広がる南北に長い地形を持ちます。浜通り・中通り・会津の3地域に分けられます。

人口・面積:2024年時点で人口は約174万人。広大な面積(約13,783km²)は全国3位の規模で、多様な地域性を有します。

経済の特徴:農業製造業エネルギー産業が主な柱で、震災からの復興と再生エネルギーの推進が注目されています。

福島県の主要都市

  • 中核都市:福島市(約27万人)、郡山市、いわき市などが主要都市です。
  • 交通アクセス:東北新幹線や常磐線、東北自動車道などが整備され、県内外の移動も便利です。
  • ビジネス・流通:農産物の集出荷・加工機能が充実し、東北地方の流通拠点としても発展しています。

福島県の気候特性

  • 年間気温・降水量:地域によって異なり、浜通りは温暖、中通りは内陸性、会津は豪雪地帯です。
  • 冬季・夏季の特徴:会津地域は積雪が多く、夏は高温多湿となります。
  • 農業への影響:気候の多様性を活かして果樹野菜など多様な作物が栽培されています。

福島県の農業事情

  • 特産物とブランド力:ももなし米(天のつぶ)などが全国的に評価されています。
  • 主要栽培品目:ももトマトきゅうりアスパラガスなど。
  • 新たな動き:スマート農業復興モデル農業の推進、輸出促進にも力が入れられています。

Opportunity中小企業にとって農業参入が
チャンスがある理由

  • 会社や投資金額の規模で必ず成功する事業ではないからこそ中小企業にもチャンスがある
  • 将来の柱となる事業へと育てられる
  • 長い目でみれば、収益が期待できる事業である
  • 農業事業の評価・評判が高まれば、本業にもプラスになる
  • 減価償却費が高いため本業で利益が出ているのであれば節税効果が見込める
  • 既存事業で活躍できていない社員を活かせられる可能性が広がる
  • 難しいといわれる農業事業で成功すれば、企業ブランドが高まる
  • 世の中に必要とされる事業である

日本の農業の現状から考えれば、劇的な生産性の向上が必要となります。つまり、日本の農業はこれから大きく変化し、加速度的に新たな取り組みが進む時期にきていると断言できます。

農業を取り巻く環境は、2兆円以上のマーケットがあります。その多くのプレイヤーの多くが入れ替わり、新しい市場に変わる魅力的なマーケットなのです。また、現段階では寡占化した企業もないため、将来の農業ビッグカンパニーは、今参入される皆様です。「食」としての農業から、飲食業・観光業・教育・商品開発・アジアなどへの海外進出などといったビジネスチャンスが広がっています。

新規参入だからこそ、リスクはもちろん存在します。

しかし、「先行者利益(ファースト・ムーバーズ・アドバンテージ)」と言われる市場を開拓したパイオニアだけ得られるメリットを、我々と共に獲得しましょう。

Report福島県の農業事情を知る!

福島県生鮮野菜の市場規模と人口

福島市の生鮮野菜市場規模は、2005年の約68億円から2023年には約87億円へと増加し、約27.8%の変化が見られました。同期間の人口変化は-6.2%であり、市場規模の変化率が人口の変化を大きく上回っています。全国平均では市場規模が約20.2%、人口は約-2.7%の変化であることから、福島市は全国とは似た傾向を示しています。人口以外の要因が影響しているとみられ、福島市では市場の拡大が続いています。 事業を展開する上でも、人口減=市場縮小という単純な見方にとらわれず、消費の中身に目を向けることが大切です。

福島県経営耕地面積別の農業経営体数の割合

福島県は、地域差が大きく、多様な農業形態が見られるのが特徴です。 福島の農業経営体のうち、経営耕地面積1ha未満の構成比は全体の44.0%であり、全国平均(52.6%)と比べて低い水準にあります。特に「0.3~1.0ha」の経営体は39.9%を占め、中小規模農業者が中心構造です。また、「0.3ha未満」の構成比は1.7%で、全国の3.3%と比較するとやや低めです。「経営耕地なし」の経営体は2.4%で、全国平均(1.6%)より高い水準となっています。一方、10ha以上の大規模経営体は2.9%にとどまり、大規模経営は少なく、小規模・家族経営が主流となっている点が特徴です。 こうした背景を知ることで、農業参入や地域ビジネスの可能性も見えやすくなります。福島県では、小規模な農業が比較的多く、地域に根ざした営農が中心です。

福島県販売規模別の農業経営体数の割合

福島の農業経営体における販売規模別構成比を見ると、最も多い層は「販売なし~100万円」で全体の51.5%を占めています。 「販売なし~100万円」は51.5%で、全国平均(52.1%)と比べて全国平均より低い水準です。 「100~500万円」は33.6%で、全国平均(27.5%)と比べて全国平均より高い水準です。 「500~1,000万円」は8.4%で、全国平均(8.5%)と比べて全国平均より低い水準です。 「1,000~5,000万円」は5.5%で、全国平均(9.9%)と比べて全国平均より低い水準です。 「5,000万円~」は1.0%で、全国平均(2.0%)と比べて全国平均より低い水準です。 自家消費型や副業的な農業が中心で、単体での収益確保は難しい地域です。

福島県年齢階層別(経営主)の農業経営体数の割合

福島では「60代」の層が最も多く、全体の39.1%を占めています。 「40代以下」は6.3%で、全国平均(7.6%)と比べて全国平均より低い水準です。 「50代」は15.5%で、全国平均(13.9%)と比べて全国平均より高い水準です。 「60代」は39.1%で、全国平均(34.1%)と比べて全国平均より高い水準です。 「70代」は29.3%で、全国平均(30.7%)と比べて全国平均より低い水準です。 「80代以上」は9.9%で、全国平均(13.6%)と比べて全国平均より低い水準です。 福島では、60代の構成比が高く、10年以内に大きな世代交代が必要な状況です。事前の準備と継承支援が重要となります。

福島県販売目的の作物別作付面積の割合

福島では「水稲」の作付面積が最も多く、全体の52.0%を占めています。 「水稲」は52.0%で、全国平均より多い水準です。 「畑作」は20.3%で、全国平均より少ない水準です。 「野菜類」は5.2%で、全国平均より少ない水準です。 「果樹類」は1.2%で、全国平均より少ない水準です。 「花き類・花木」は0.6%で、全国平均より少ない水準です。 「その他」は20.8%で、全国平均より多い水準です。 福島でも他府県と同様、水稲が中心となっており、伝統的な稲作経営が地域農業の基盤を支えています。稲作の比率が高く、地域の基幹作物として安定的に営まれていますが、担い手不足や米価変動への対応も今後の課題です。水稲が最も多く作付けされており、地域に根差した稲作文化の継承が続いています。

福島県トマトの作付面積と反収

企業が農業事業を検討する際、栽培管理のしやすさや市場性の高さからトマトを候補に挙げるケースが多く見られます。

事業としてトマトを選ぶ企業が多いせいか、「もう飽和しているのでは?」といったご質問をいただくことも少なくありません。

企業が農業事業を検討する際、栽培管理のしやすさや市場性の高さからトマトを候補に挙げるケースが多く見られます。

事業としてトマトを選ぶ企業が多いせいか、「もう飽和しているのでは?」といったご質問をいただくことも少なくありません。

福島では、2015年から2022年にかけて大玉トマトの作付面積が約10%減少(270ha→243ha)。一方、同じ期間に10aあたりの収穫量(反収)は横ばい(5,929kg→6,101kg)となっています。全国では、作付面積が約13%減少(9,283ha→8,075ha)、反収は約7%増加(6,062kg→6,512kg)。

福島では、2015年から2022年にかけてミニトマトの作付面積が横ばい(95ha→96ha)。一方、同じ期間に10aあたりの収穫量(反収)は約8%減少(7,590kg→7,010kg)となっています。全国では、作付面積が約16%増加(2,320ha→2,690ha)、反収は横ばい(5,660kg→5,850kg)。

福島の大玉トマトとミニトマトの作付面積の推移を見ると、

・大玉トマト:270ha → 243ha(▲10%)
・ミニトマト:95ha → 96ha(+1%)

このことから、大玉トマトの競合は減っている、ミニトマトの競合は増えているといえます。

Flow農業参入までの流れ

  1. step1

    農業参入の目的

    詳細

    耕作放棄地の増加や農業者の高齢化といった社会問題への貢献や、農業ビジネスの収益化を目指した先行投資などを目的に参入される企業が増加しています。

    しかし、投資採算性が見込めないようであれば農業を続けていくことは難しいといえます。だからこそ、外部環境や自社分析を行ったうえで、何のために農業参入するのかといった目的を明確にしましょう。

  2. step2

    栽培品目と栽培技術の選定

    詳細

    農業が成功するかどうかは、栽培品目とその品目の栽培技術でほぼ99%決まると言っても過言ではありません。

    農業参入時において、最も難しいことは「栽培技術の見極め」であるといえます。農業参入を決定する前に、必ず「栽培品目と栽培技術の選定」にじっくり時間をかけて事前調査を進めてください。

  3. step3

    農地の確保

    詳細

    栽培品目と栽培技術の選定が終わり、農業参入を意思決定した後、農地の確保を進める必要があります。

    「農地を借りる」または「農地を買う」といった場合には農地が所在する市町村の「農業委員会」の許可が必要です。

    ただ法人の場合は、「農地所有適格法人」の要件を満たさないと「農地を買う」ことはできません。したがって、「農地を借りる」ことにより、農業参入する場合が多いです。

  4. step4

    事業計画の策定

    詳細

    自社分析や農業事情や市場調査などを行った上で、事業計画を策定します。

    5か年の収支計画や農業ハウスや農業機械などの投資計画、融資交渉、人員計画などを具体的に計画づくりを行います。

  5. step5

    栽培研修

    詳細

    栽培品目ごとに差異はありますが、基本的な栽培作業の流れはさほど難しくありません。理由としては、「周期ごとに同じ作業が続く=ルーティン」だからです。栽培の流れを理解し、研修などを行うことで少しでも不安を解消しましょう。

  6. step6

    定植準備

    詳細

    ハウス建設や農業機械の納入、苗や肥料など農業資材発注などを行い、定植に備えます。

    栽培が始まってからでは、なかなか時間が割くことが難しいため、農場のロゴや商品パッケージ、HPやSNS、営業ツールなどの整備も合わせて行っておくことをおすすめします。

  7. step7

    栽培開始

    詳細

    想定の収穫量を確保するためには、栽培の安定が重要です。栽培が安定した後は、作業効率化にも取り組んでいきましょう。農業の高収益化のためには「人件費コントロール」も重要な要素です。まずは、農場の5Sの徹底から、さらには効率的かつ効果的な作業手順や作業方法を模索していきましょう。

  8. step8

    販売開始

    詳細

    どれだけ高品質だったとしても、㎏単価をより高く設定するために、最も重要なのは「販路数」です。

    販路数が少ない場合、1店舗や1社で販売する量がどうしても増えてしまいます。鮮度があるためどうしても値引きをして売ってしまわなくてはなりません。一方で販路数が多ければ多いほど、強気で売価設定できます。したがって、地道に販路開拓を進めていきましょう。

the name of the game農業参入における最重要ポイント

プロの農家さんと同じやり方で、未経験の企業が農業参入しても、うまくいくはずがありません。また農業を事業として行うのであれば、「収益化」しなければ続けることは難しいでしょう。

農業の売上の公式は、農業売上=㎏単価×収量です。

「㎏単価」を決める大きな要素は「品質」です。

「収量」で重要なのは「反収UP」です。

この「品質」と「収量」を決めるのは、栽培施設でも栽培設備でも農業機械でもありません。会社の規模の大小や、投資金額の大小で決まるわけではありません。

農業参入時において見極めなくてはならないのは、「栽培技術」なのです。

また、栽培品目をただやみくもに広げることもおすすめしません。その最大の理由は、栽培技術が伴わなければ成功は見込めないからです。

栽培品目と栽培技術の決定に時間と労力をかけ、農業参入を成功させましょう。

また、栽培品目の選び方や栽培技術の見極め方について詳しく知りたい方は、「企業のための農業参入」無料説明会をお申込みください。

Message福島県で農業参入を検討される企業経営者・幹部の皆様へ

福島発・“再起動型農業”で企業が描く未来戦略

農業というと「守りの産業」というイメージが根強く残っています。
しかし、福島市の生鮮野菜市場はこの18年間で約28%成長。同期間の人口は6.2%減少しているにもかかわらず、市場は拡大を続けているという事実があります。
これは、量的な需要の変化だけではなく、消費の質・価値観の変化に応える農産物が求められていることを示しています。

つまり、農業とは「衰退産業」ではなく、変化に対応する者にとっての再起動可能なフロンティアなのです。

福島県の農業は、地形や気候の違いによって多様な営農スタイルが展開されていますが、経営体の多くは小規模です。
経営耕地面積1ha未満が全体の44%を占め、販売額100万円未満が51.5%。いわゆる“家族経営”や“副業的農業”が主流です。
この構造は、収益性の面では企業にとって決して魅力的とは言えません。

さらに課題となるのは、世代交代の進行が難航している現状です。
60代の経営者が最も多く(39.1%)、今後10年での代替わりは避けられません。にもかかわらず、農業を“継ぐ”という人材や法人は非常に少ないのが実態です。
「引き継ぐ先がいない」──これが、福島の農業における最大のボトルネックです。

これはつまり、農業が一から事業として立ち上げ直される必要があるケースが大半であり、企業が参入する場合でも、簡単に“引き継げる”状況にはないということを意味します。
参入の難易度は高いが、競合は少なく、本気で取り組めば市場が見える──まさに、チャレンジャー向けの産業です。

そんな中で、企業の農業参入で注目を集めているとされるのがトマト栽培です。
福島県における大玉トマトの作付面積は2015年から2022年の間に約10%減少(270ha→243ha)しました。
一方で反収(10aあたりの収穫量)は横ばい(5,929kg→6,101kg)で推移。これは技術革新というより、事業を継続できた限られた生産者による安定生産が背景にあると考えられます。

一方のミニトマトは、作付面積がほぼ横ばいながら、反収は約8%減少。過当競争や栽培リスクへの対応力が問われるフェーズに入ってきたといえるでしょう。

トマトをはじめとする施設野菜の栽培は、企業が得意とする「計画性」「マニュアル化」「人材管理」と相性がよく、利益が見える構造をつくりやすい分野です。
ただし、それも適切な栽培管理、販路確保、そして地域との協働体制が整ってこそ成り立ちます。

福島の農業は、制度や既存体制に依存していては変わりません。
今求められているのは、ゼロベースで戦略を設計できる“新しい担い手”であり、それを担えるのが企業なのです。

単に利益を得るためではなく、地域の資源を価値に変える事業として農業に向き合う姿勢こそが、持続的な成果を生みます。

福島には市場があります。土地があります。手が足りていない現場があります。
これらを束ね、形にできる力が企業にあるのなら、いまこそ動き出すべきタイミングです。

変化の余地があるからこそ、福島は企業にとって“選べる農業の現場”となり得るのです。

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