青森県で農業参入を検討される企業様へ

青森県の概要
地理的位置:青森県は本州最北端に位置し、日本海・津軽海峡・太平洋に面した三方を海に囲まれた地域です。自然豊かで、気候や風土の多様性が特徴です。面積は約9,645km²で全国8位の広さを持ちます。
人口・面積:2024年時点で人口は約119万人。1985年の約152万人から減少が続き、少子高齢化や若者の都市流出が課題です。
経済の特徴:農業、林業、水産業が盛んで、特に農業では「りんご」や「にんにく」のブランド力が全国的に知られています。
青森県の主要都市
- 中核都市:青森市(約26万人)、八戸市(約21万人)、弘前市(約16万人)が主要都市です。
- 交通アクセス:新幹線(新青森駅)、青森空港、八戸港など交通インフラも整備され、物流拠点としても発展しています。
- ビジネス・流通:農産物や水産物の集積地としても重要な位置を占めています。
青森県の気候特性
- 年間気温・降水量:地域により異なり、津軽地方は豪雪地帯、南部地方は晴天が多く、下北地方は比較的温和です。
- 冬季・夏季の特徴:日本海側は雪が多く、太平洋側はやませの影響で冷涼な気候。多様な気候が農業の品種選択に影響します。
- 農業への影響:りんご、にんにく、ながいもなど、多様な品目が地域特性に応じて栽培されています。
青森県の農業事情
- 特産物とブランド力:青森の「りんご」は全国1位の生産量を誇り、「ふじ」「王林」などの品種が知られています。弘前市は名産地として有名です。
- 主要栽培品目:「にんにく」、「ながいも」、「ごぼう」、「米(まっしぐら、つがるロマン)」なども主要品目です。
- 新たな動き:スマート農業や6次産業化の推進、観光と連動したアグリツーリズムなど、新たな農業モデルへの取り組みが進んでいます。
Opportunity中小企業にとって農業参入が
チャンスがある理由
- 会社や投資金額の規模で必ず成功する事業ではないからこそ中小企業にもチャンスがある
- 将来の柱となる事業へと育てられる
- 長い目でみれば、収益が期待できる事業である
- 農業事業の評価・評判が高まれば、本業にもプラスになる
- 減価償却費が高いため本業で利益が出ているのであれば節税効果が見込める
- 既存事業で活躍できていない社員を活かせられる可能性が広がる
- 難しいといわれる農業事業で成功すれば、企業ブランドが高まる
- 世の中に必要とされる事業である
日本の農業の現状から考えれば、劇的な生産性の向上が必要となります。つまり、日本の農業はこれから大きく変化し、加速度的に新たな取り組みが進む時期にきていると断言できます。
農業を取り巻く環境は、2兆円以上のマーケットがあります。その多くのプレイヤーの多くが入れ替わり、新しい市場に変わる魅力的なマーケットなのです。また、現段階では寡占化した企業もないため、将来の農業ビッグカンパニーは、今参入される皆様です。「食」としての農業から、飲食業・観光業・教育・商品開発・アジアなどへの海外進出などといったビジネスチャンスが広がっています。
新規参入だからこそ、リスクはもちろん存在します。
しかし、「先行者利益(ファースト・ムーバーズ・アドバンテージ)」と言われる市場を開拓したパイオニアだけ得られるメリットを、我々と共に獲得しましょう。
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青森県生鮮野菜の市場規模と人口

青森市の生鮮野菜市場規模は、2005年の約80億円から2023年には約101億円へと増加し、約27.1%の変化が見られました。同期間の人口変化は-17.4%であり、市場規模の変化率が人口の変化を大きく上回っています。全国平均では市場規模が約20.2%、人口は約-2.7%の変化であることから、青森市は全国とは異なる傾向を示しています。消費スタイルの変化が進んでおり、青森市では人口動向とは異なる需要の伸びが見てとれます。 事業を展開する上でも、人口減=市場縮小という単純な見方にとらわれず、消費の中身に目を向けることが大切です。
青森県経営耕地面積別の農業経営体数の割合

青森県は、果樹栽培をはじめとした農業が盛んで、経営体の規模にも特徴が見られます。 青森の農業経営体のうち、経営耕地面積1ha未満の構成比は全体の33.0%であり、全国平均(52.6%)と比べて低い水準にあります。特に「0.3~1.0ha」の経営体は29.1%を占め、中小規模農業者が中心構造です。また、「0.3ha未満」の構成比は2.4%で、全国の3.3%と比較するとやや低めです。「経営耕地なし」の経営体は1.5%で、全国平均(1.6%)より低い水準となっています。一方、10ha以上の大規模経営体は6.0%にとどまり、大規模経営体の比率も一定程度ある点が特徴です。 こうした背景を知ることで、農業参入や地域ビジネスの可能性も見えやすくなります。青森県では、小規模な農業が比較的多く、地域に根ざした営農が中心です。
青森県販売規模別の農業経営体数の割合

青森の農業経営体における販売規模別構成比を見ると、最も多い層は「100~500万円」で全体の42.1%を占めています。 「販売なし~100万円」は26.0%で、全国平均(52.1%)と比べて全国平均より低い水準です。 「100~500万円」は42.1%で、全国平均(27.5%)と比べて全国平均より高い水準です。 「500~1,000万円」は18.3%で、全国平均(8.5%)と比べて全国平均より高い水準です。 「1,000~5,000万円」は12.5%で、全国平均(9.9%)と比べて全国平均より高い水準です。 「5,000万円~」は1.2%で、全国平均(2.0%)と比べて全国平均より低い水準です。 地域に根ざした小規模農業が主流で、収益面では課題が残ります。
青森県年齢階層別(経営主)の農業経営体数の割合

青森では「60代」の層が最も多く、全体の34.9%を占めています。 「40代以下」は8.0%で、全国平均(7.6%)と比べて全国平均より高い水準です。 「50代」は16.5%で、全国平均(13.9%)と比べて全国平均より高い水準です。 「60代」は34.9%で、全国平均(34.1%)と比べて全国平均より高い水準です。 「70代」は29.6%で、全国平均(30.7%)と比べて全国平均より低い水準です。 「80代以上」は10.9%で、全国平均(13.6%)と比べて全国平均より低い水準です。 青森では、60代の構成比が高く、10年以内に大きな世代交代が必要な状況です。事前の準備と継承支援が重要となります。
青森県販売目的の作物別作付面積の割合

青森では「畑作」の作付面積が最も多く、全体の30.9%を占めています。 「水稲」は29.2%で、全国平均より少ない水準です。 「畑作」は30.9%で、全国平均より少ない水準です。 「野菜類」は16.7%で、全国平均より多い水準です。 「果樹類」は2.9%で、全国平均より多い水準です。 「花き類・花木」は0.1%で、全国平均より少ない水準です。 「その他」は20.2%で、全国平均より多い水準です。 青森でも他府県と同様、地域特性を活かした多様な営農が展開されています。 果樹類の構成比も全国平均を上回っており、地域資源を活かした栽培が行われていることがわかります。野菜を主軸とした農業構造が特徴で、地の利を活かした出荷体制や品質向上の取り組みが求められます。畑作作物の比重が高く、土地利用型農業として機械化や規模拡大が進行しています。
青森県トマトの作付面積と反収

農業に新たな活路を見出そうとする企業が増えており、トマトは比較的取り組みやすい作物として関心を集めています。
「トマトは人気がある分、もう競合が多すぎるのでは?」というご相談を受けることがあります。
企業が農業事業を検討する際、栽培管理のしやすさや市場性の高さからトマトを候補に挙げるケースが多く見られます。
トマト栽培は企業の参入が多いと聞きますが、競合が激しいのではないかという声をいただくこともあります。
青森では、2015年から2022年にかけて大玉トマトの作付面積が約14%減少(320ha→274ha)。一方、同じ期間に10aあたりの収穫量(反収)は横ばい(4,669kg→4,670kg)となっています。全国では、作付面積が約13%減少(9,283ha→8,075ha)、反収は約7%増加(6,062kg→6,512kg)。
青森では、2015年から2022年にかけてミニトマトの作付面積が約42%増加(48ha→68ha)。一方、同じ期間に10aあたりの収穫量(反収)は横ばい(4,600kg→4,570kg)となっています。全国では、作付面積が約16%増加(2,320ha→2,690ha)、反収は横ばい(5,660kg→5,850kg)。
青森の大玉トマトとミニトマトの作付面積の推移を見ると、
・大玉トマト:320ha → 274ha(▲14%)
・ミニトマト:48ha → 68ha(+42%)
このことから、大玉トマトの競合は減っている、ミニトマトの競合は増えているといえます。
Flow農業参入までの流れ
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step1
農業参入の目的
詳細
耕作放棄地の増加や農業者の高齢化といった社会問題への貢献や、農業ビジネスの収益化を目指した先行投資などを目的に参入される企業が増加しています。
しかし、投資採算性が見込めないようであれば農業を続けていくことは難しいといえます。だからこそ、外部環境や自社分析を行ったうえで、何のために農業参入するのかといった目的を明確にしましょう。
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step2
栽培品目と栽培技術の選定
詳細
農業が成功するかどうかは、栽培品目とその品目の栽培技術でほぼ99%決まると言っても過言ではありません。
農業参入時において、最も難しいことは「栽培技術の見極め」であるといえます。農業参入を決定する前に、必ず「栽培品目と栽培技術の選定」にじっくり時間をかけて事前調査を進めてください。
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step3
農地の確保
詳細
栽培品目と栽培技術の選定が終わり、農業参入を意思決定した後、農地の確保を進める必要があります。
「農地を借りる」または「農地を買う」といった場合には農地が所在する市町村の「農業委員会」の許可が必要です。
ただ法人の場合は、「農地所有適格法人」の要件を満たさないと「農地を買う」ことはできません。したがって、「農地を借りる」ことにより、農業参入する場合が多いです。
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step4
事業計画の策定
詳細
自社分析や農業事情や市場調査などを行った上で、事業計画を策定します。
5か年の収支計画や農業ハウスや農業機械などの投資計画、融資交渉、人員計画などを具体的に計画づくりを行います。
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step5
栽培研修
詳細
栽培品目ごとに差異はありますが、基本的な栽培作業の流れはさほど難しくありません。理由としては、「周期ごとに同じ作業が続く=ルーティン」だからです。栽培の流れを理解し、研修などを行うことで少しでも不安を解消しましょう。
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step6
定植準備
詳細
ハウス建設や農業機械の納入、苗や肥料など農業資材発注などを行い、定植に備えます。
栽培が始まってからでは、なかなか時間が割くことが難しいため、農場のロゴや商品パッケージ、HPやSNS、営業ツールなどの整備も合わせて行っておくことをおすすめします。
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step7
栽培開始
詳細
想定の収穫量を確保するためには、栽培の安定が重要です。栽培が安定した後は、作業効率化にも取り組んでいきましょう。農業の高収益化のためには「人件費コントロール」も重要な要素です。まずは、農場の5Sの徹底から、さらには効率的かつ効果的な作業手順や作業方法を模索していきましょう。
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step8
販売開始
詳細
どれだけ高品質だったとしても、㎏単価をより高く設定するために、最も重要なのは「販路数」です。
販路数が少ない場合、1店舗や1社で販売する量がどうしても増えてしまいます。鮮度があるためどうしても値引きをして売ってしまわなくてはなりません。一方で販路数が多ければ多いほど、強気で売価設定できます。したがって、地道に販路開拓を進めていきましょう。
the name of the game農業参入における最重要ポイント

プロの農家さんと同じやり方で、未経験の企業が農業参入しても、うまくいくはずがありません。また農業を事業として行うのであれば、「収益化」しなければ続けることは難しいでしょう。
農業の売上の公式は、農業売上=㎏単価×収量です。
「㎏単価」を決める大きな要素は「品質」です。
「収量」で重要なのは「反収UP」です。
この「品質」と「収量」を決めるのは、栽培施設でも栽培設備でも農業機械でもありません。会社の規模の大小や、投資金額の大小で決まるわけではありません。
農業参入時において見極めなくてはならないのは、「栽培技術」なのです。
また、栽培品目をただやみくもに広げることもおすすめしません。その最大の理由は、栽培技術が伴わなければ成功は見込めないからです。
栽培品目と栽培技術の決定に時間と労力をかけ、農業参入を成功させましょう。
また、栽培品目の選び方や栽培技術の見極め方について詳しく知りたい方は、「企業のための農業参入」無料説明会をお申込みください。
Message青森県で農業参入を検討される企業経営者・幹部の皆様へ
「小さな農業が支える青森の未来。だからこそ、企業の“戦略的参入”に意味がある」
地方での新規事業、それも農業への参入を考えるとき、多くの経営者の頭に浮かぶのは、「農業は経験がないと難しいのでは?」という疑問でしょう。確かに、農業は自然を相手にした産業であり、知識も体力も必要です。さらに言えば、地域との関係性や、販路の構築、収益化までを見据えた計画が必要なことも間違いありません。
しかし、青森という地には、「だからこそ企業が力を発揮できる」理由がいくつもあります。
青森県の農業経営体の多くは、経営耕地面積が1ha未満の中小規模です。特に「0.3~1.0ha」規模が中心で、これはいわゆる「家族経営農家」が主体となっていることを意味します。しかも、経営者の年齢は60代が最多。つまり、「引退間近の個人農家が地域の農業を支えている」のが現状なのです。
裏を返せばこれは、「担い手がいない」=「企業参入の余地がある」ということです。
加えて、農地も耕作放棄地や継承が難航している土地が出始めており、企業が地域に誠実に向き合えば、協力を得やすい環境が整いつつあります。
では、なぜ今、企業が農業に注目すべきなのでしょうか?
実は、青森市の生鮮野菜市場規模は、2005年から2023年の間に約27%も拡大しています。一方、人口は17%減少。このデータが示すのは、「市場は人ではなくニーズで動く」という事実です。健康志向、地産地消、安全安心な食への関心…。人口減少の中でも食へのこだわりはむしろ強くなっているのです。
ここに、企業が取り組む意味があります。たとえば、農業を「単なる生産」ではなく、「ブランディングされた製品」や「体験型のサービス」として捉える視点。これは多くの個人農家には難しいですが、マーケティングや経営ノウハウを持つ企業なら実現可能です。
例えばトマトです。青森では大玉トマトの作付面積が減っている一方、反収(10aあたりの収穫量)は安定しています。つまり、競合が減少している今が参入の好機。また、ミニトマトの人気は高まっていますが、競争が激しくなっており、差別化が難しい面もあります。参入戦略としては、「あえて大玉を選ぶ」という選択肢が企業には向いているかもしれません。
さらに、青森の農業構造には機械化された畑作、地域特化型の果樹、比較的高単価の野菜類など、企業がビジネスとして検討できる余地がいくつもあります。特に青森は、“地域に根ざした営農”が基本。その空気感の中で、企業がいきなり大規模展開を目指すのではなく、「まずは1ha以下の小規模実証からスタート」する戦略が有効です。
企業の農業参入=いきなりトラクターを買って農地を買って…ではありません。今の時代は、ハウスをリースし、研修付きで栽培スタート、出荷先まで伴走支援がある仕組みも整っています。つまり、農業経験ゼロの企業でも、再現性の高いモデルが準備されつつあるのです。
最後にお伝えしたいのは、「農業は社会貢献だから」といった“きれいごと”ではなく、しっかりと収益性のある新規事業として捉えてほしいということ。中小企業が持つ経営力、組織力、販売戦略は、農業現場にとって革新そのものです。
そして今、青森ではその変化を受け入れる“時代の扉”が開いています。
地域に根ざす個人農家が多いからこそ、企業の参入には意味がある。
技術や販路を持たないからこそ、企業の支援が必要とされている。
それは、「できるかどうか」ではなく、「どんな形で参入するか」によって、すべてが変わるのです。
農業に、御社の未来を重ねてみませんか?
「農業に参入することは、未来を耕すこと」
その一歩が、青森の明日を変える力になります。