日本の農業界は「小規模農業者」「大規模農業者」「農業参入企業」の三者が共存する世界になる
日本における農業従事者の平均年齢が67.9歳と高齢化がどんどん進んでいるといわれています。また、肥料代や飼料代、エネルギーコストの増加に伴い、厳しかった経営がより厳しくなっているのも事実です。
日本では、近年、「食料廃棄(フードロス)」が問題になっているため、「食料危機」といわれてもイメージがつきにくいかもしれません。
しかし、日本の食料自給率はここ数年カロリーベースで40%前後と低い水準にとどまっており、食料の大部分を輸入に頼っているのが現状です。
国際情勢によっては、食料輸入がストップし、食料危機に陥る可能性も十分にあるのです。今後の日本の農業はどのように進んでいくのでしょうか。
<目次>
1.農業界の現状
2.市場規模の小さい品目で収益を上げる「小規模農業者」
3.すでに拡大しており今後さらに田畑を集約する「大規模農業者」
4.「施設栽培」を中心に収益をあげる「農業参入企業」
5.三者が共存する農業界
30年前の1991年には、農業従事者数819万人に対して、2021年には229万人と、7割以上減少しているのが農業です。これから10年先、2030年にはさらに100万人が減少すると予測されています。
一方で農業算出額は9兆円を超える市場です。そのうち野菜は2~3兆円と全体の25~30%を占めています。 野菜市場については、市場規模が伸びているのです。
2021年度の生鮮野菜の市場規模は約3兆円あり、日本の人口は1.2億人です。2005年度から生鮮野菜の市場規模119%伸びています。一方で、日本の人口は98%なので2%減少しています。 日本人口は、微減にも関わらず、生鮮野菜の市場は伸びているのです。
農業従事者数へ減少しているにも関わらず、野菜の市場規模は伸びているといった、とても歪な業界が農業です。
農業界における数多くの課題はここでは詳しく説明しませんが、国内農業が発展せず、農業従事者数が激減している一因に「価格の決定権」が「生産者=農家にない」ことがあります。
今まで多くの生産者=農家さんは、既存の流通に出荷していきました。
「農業売上=㎏単価✕収穫量」
㎏単価が、「需給バランス」が決定することになると、損益分岐点を考えた経営は難しくなります。さらに、運びやすいという点から「形や大きさ」など「規格に合うかどうか」になっています。食品といった本来的機能価値である「味・鮮度・安全性」といった価値は評価されにくいというのが現実です。 日本における農家さん全体の6割以上が農業所得100万円以下です。農業を経営として考えた際に、価格の決定権がある販路をつくっていける農家さんや生産者グループが生き残っていけるでしょう。
市場などの流通にのせる品目は、市場規模の大きい品目が大多数です。例えば産地形成して、全国の小売店に流通させる品目です。 しかし、市場規模が大きい品目は、「需要と供給のバランス」で価格が決定されてしまいます。つまり、自分たちでは価格決定権がない品目になってしまうのです。効率的かつ大規模に生産できる農家さんや、産地形成しているエリアに太刀打ちできません。 そういった市場規模の大きい品目ではなく、市場規模の小さい品目、物珍しい品目を確実に収益化する「小規模農業者」が生き残っていくでしょう。 小規模農業者がグループとなり、リテールといわれる「小売店」や「飲食店」、「消費者」と直接繋がっていくという動きが活発になっていくと予測しています。 地元のシェフと地域内の若手農家、レストラン・食材卸・種苗会社・スーパー・食品メーカー・行政などが連携して、ヨーロッパ野菜の栽培・普及を目指しているグループが台頭しています。 価格の決定権があり、販路を増やしていける生産者や生産者グループが今後も生き残っていくでしょう。
すでに成功して大規模で経営されている大規模農業者さんです。今後もさらに、田畑を集約して大規模化そして効率化を進めることでしょう。 「農業未経験の企業が農業参入して露地栽培で成功することができるのか」 でも記載しましたが、露地栽培で成功するためには、
が必要です。 すでに大規模化されている農業者さんが、地元からも農地を借りて欲しいといわれ、拡大するだろうと予測しています。
農業従事者数の減少および生産野菜の市場規模の増加といった背景もあり、企業の農業参入は右肩上がりで増加しています。
農家さんと企業の大きな違いは、「投資」にあります。 農家さんからすれば「投資」といってもできる経営体の数は限られています。農業所得100万円以下の農家さんが「投資」を行うことができるでしょうか。 一方で企業からすれば、ごく当たり前のことですが、新規事業を行う場合や拡大する場合、「投資」を行います。本業が順調な企業こそ、新規事業を探しています。 農業未経験の企業からすれば、栽培技術を補完するためにも施設栽培で参入するべきだと考えています。また、企業が農業を事業として行う場合、「経営の安定」を求めるのではないでしょうか。 露地栽培では、栽培技術はもちろんですが、天候や災害のリスクが大きくなってしまいます。栽培技術がないからこそ、技術を補完できる施設栽培で農業参入する企業が台頭すると予測しています。
これからの日本の農業は、
・市場規模の小さい品目で収益を上げる「小規模農業者」
・すでに拡大しており今後さらに田畑を集約する「大規模農業者」
・「施設栽培」を中心に収益をあげる「農業参入企業」
の三者が共存する業界になると予測しています。 カテゴリに関わらず、農業で成功するためには、
が農業経営を安定させることにつながるのです。
<目次>
1.農業界の現状
2.市場規模の小さい品目で収益を上げる「小規模農業者」
3.すでに拡大しており今後さらに田畑を集約する「大規模農業者」
4.「施設栽培」を中心に収益をあげる「農業参入企業」
5.三者が共存する農業界
1.農業界の現状
30年前の1991年には、農業従事者数819万人に対して、2021年には229万人と、7割以上減少しているのが農業です。これから10年先、2030年にはさらに100万人が減少すると予測されています。
一方で農業算出額は9兆円を超える市場です。そのうち野菜は2~3兆円と全体の25~30%を占めています。 野菜市場については、市場規模が伸びているのです。
2021年度の生鮮野菜の市場規模は約3兆円あり、日本の人口は1.2億人です。2005年度から生鮮野菜の市場規模119%伸びています。一方で、日本の人口は98%なので2%減少しています。 日本人口は、微減にも関わらず、生鮮野菜の市場は伸びているのです。
農業従事者数へ減少しているにも関わらず、野菜の市場規模は伸びているといった、とても歪な業界が農業です。
農業界における数多くの課題はここでは詳しく説明しませんが、国内農業が発展せず、農業従事者数が激減している一因に「価格の決定権」が「生産者=農家にない」ことがあります。
今まで多くの生産者=農家さんは、既存の流通に出荷していきました。
「農業売上=㎏単価✕収穫量」
㎏単価が、「需給バランス」が決定することになると、損益分岐点を考えた経営は難しくなります。さらに、運びやすいという点から「形や大きさ」など「規格に合うかどうか」になっています。食品といった本来的機能価値である「味・鮮度・安全性」といった価値は評価されにくいというのが現実です。 日本における農家さん全体の6割以上が農業所得100万円以下です。農業を経営として考えた際に、価格の決定権がある販路をつくっていける農家さんや生産者グループが生き残っていけるでしょう。
2.市場規模の小さい品目で収益を上げる「小規模農業者」
市場などの流通にのせる品目は、市場規模の大きい品目が大多数です。例えば産地形成して、全国の小売店に流通させる品目です。 しかし、市場規模が大きい品目は、「需要と供給のバランス」で価格が決定されてしまいます。つまり、自分たちでは価格決定権がない品目になってしまうのです。効率的かつ大規模に生産できる農家さんや、産地形成しているエリアに太刀打ちできません。 そういった市場規模の大きい品目ではなく、市場規模の小さい品目、物珍しい品目を確実に収益化する「小規模農業者」が生き残っていくでしょう。 小規模農業者がグループとなり、リテールといわれる「小売店」や「飲食店」、「消費者」と直接繋がっていくという動きが活発になっていくと予測しています。 地元のシェフと地域内の若手農家、レストラン・食材卸・種苗会社・スーパー・食品メーカー・行政などが連携して、ヨーロッパ野菜の栽培・普及を目指しているグループが台頭しています。 価格の決定権があり、販路を増やしていける生産者や生産者グループが今後も生き残っていくでしょう。
3.すでに拡大しており今後さらに田畑を集約する「大規模農業者」
すでに成功して大規模で経営されている大規模農業者さんです。今後もさらに、田畑を集約して大規模化そして効率化を進めることでしょう。 「農業未経験の企業が農業参入して露地栽培で成功することができるのか」 でも記載しましたが、露地栽培で成功するためには、
・5ha以上かつ条件のよい農地を確保できる
・すでに栽培技術がある
・市場やJA以外の販路がある
・すでに栽培技術がある
・市場やJA以外の販路がある
が必要です。 すでに大規模化されている農業者さんが、地元からも農地を借りて欲しいといわれ、拡大するだろうと予測しています。
4.「施設栽培」を中心に収益をあげる「農業参入企業」
農業従事者数の減少および生産野菜の市場規模の増加といった背景もあり、企業の農業参入は右肩上がりで増加しています。
農家さんと企業の大きな違いは、「投資」にあります。 農家さんからすれば「投資」といってもできる経営体の数は限られています。農業所得100万円以下の農家さんが「投資」を行うことができるでしょうか。 一方で企業からすれば、ごく当たり前のことですが、新規事業を行う場合や拡大する場合、「投資」を行います。本業が順調な企業こそ、新規事業を探しています。 農業未経験の企業からすれば、栽培技術を補完するためにも施設栽培で参入するべきだと考えています。また、企業が農業を事業として行う場合、「経営の安定」を求めるのではないでしょうか。 露地栽培では、栽培技術はもちろんですが、天候や災害のリスクが大きくなってしまいます。栽培技術がないからこそ、技術を補完できる施設栽培で農業参入する企業が台頭すると予測しています。
5.三者が共存する農業界
これからの日本の農業は、
・市場規模の小さい品目で収益を上げる「小規模農業者」
・すでに拡大しており今後さらに田畑を集約する「大規模農業者」
・「施設栽培」を中心に収益をあげる「農業参入企業」
の三者が共存する業界になると予測しています。 カテゴリに関わらず、農業で成功するためには、
(1)栽培技術の進化による「売上=㎏単価✕収穫量」のアップ
(2)農業の三大コストの1つである人件費コントール(業務効率化)
(3)価格決定権のある販路の確保
(4)規模の拡大
(2)農業の三大コストの1つである人件費コントール(業務効率化)
(3)価格決定権のある販路の確保
(4)規模の拡大
が農業経営を安定させることにつながるのです。